大学時代教わったこと

 K君とは、大学時代からの親友で馬鹿なのに単位を確実にとる方法を開発していたことがある。それは、空き時間は積極的に先生に会いに行くという作戦だった。
 一般教養の先生なんかは喜んじゃって、酒と柿ピーだしてくれて他の先生の悪口を聞かせてくれたり、勉強になった。
 そんななか鷲尾先生は、いかにも勉強した人って感じで面白かった。その時期、K君と俺は「ビートたけしお笑いウルトラクイズ」のビデオを呑みながら一緒に見るのにはまっていて、鷲尾先生に二人で何して遊んでんのか?と聞かれて、「お笑いのビデオを見てます」って答えたら、「いいねー、僕も大好きだよ、チャップリン」だって。こっちは、おでん熱いとかで喜んでるのに、頭の良い人はお笑いは笑って泣けるチャップリンしか知らない。そのアンバランスが好きだった。
 「なんで、勉強しなきゃいけないの?」なんて、中学生みたいな質問をしたら「思考方や、暗記方、論理的な考えを学ぶ」のだそうです教養の他に。でも、学校で勉強するよりも映画を観た方が勉強になるそうです。哲学や心理学の深い話は、真面目な勉強のことだけど現実離れしてなくて面白かった。
 あと、いまだに忘れられないのは、俺の就職活動にくれたアドバイス「どこの会社に入るかよりも、入った会社で何ができるかが大切」という言葉です。働くということは、会社に所属し受動的にやってくということではなく、職場という中で自分の良さを精一杯出す能動的な行為であるということを教えてもらいました。ちょっと世間から浮いてる鷲尾先生の言葉だけど、おかげでたいした仕事じゃなくても、腐らずに前向きにやっていけてるんだと思います。
 そんな鷲尾先生と、バス吊り下げアップダウンクイズと、ワニと向き合う桜キンゾーから、働くということを教わった大学生の僕らでした。