フリーザ様万歳!

 ドラゴンボール世代の私は、漫画やアニメから多くのことを学んだ。単純なことからドラゴンボールを見ない某宗教があることなど、それを取り巻く社会についてまでだ。
 だが、大人になった今、大人の脳でドラゴンボールを思い出した時にあるキャラクターの存在が際立ってくる。それがフリーザ様だ。

 それは、シリーズ随一の「悪役」のフリーザさまだが、彼(彼女?)の立場になってみるとそこまで悪くもんじゃないかな?ということだ。
 フリーザ様がそもそも神龍に頼みたい願いとは、不老不死だ。だが、惑星ベジータを破壊したときと、ナメック星に来たときはたいして老けたようには見えない。つまり基本、人類やサイヤ人よりも長生きな生物であると考えられる。にもかかわらず、不老不死を願ってしまう業の深さ。これは、私達と共通するものがあるのでわないか。
 次に、フリーザ様は宇宙最強ということだ。宇宙最強でありながら、次々と宇宙の星々を征服していく。彼自信食事をしたりエネルギーを補給している印象もなく、彼らの文明は資源を必要としているわけでもなさそうだ。そもそもドラゴンボールの価値観に資源やエネルギーなどは薄く、つまりフリーザの宇宙征服の動機の多くは「自分が宇宙最強」であることを証明したいという非常に単純な自己堅持欲であり、前向きなものであるといえる。
 そして、彼の組織は彼を中心とした強さという公平な基準による星人間の差別のない組織であるということも注目に値する。また、敵の応じた戦闘力の部下をわざわざ闘わせる。ここに部下の使い捨てのようにみせて実は部下の成長を願う組織運営と、彼自信の形態をかえたり左手だけで闘うなどのあえて困難を乗り越えることによって成長するという、確固たるポリシーが見えないだろうか。
 彼ほどの最強の人物がサイヤ人を根絶やしにしそびれたり、部下の育成を考えていたり、不死だけでなく不老も求めているのは宇宙最強でありながら強敵の出現を待っているようにも見える。フリーザとは闘うことが本当に大好きな「男」なのだ。そして、sexの定かでないその「漢」の最高の快楽はもしかしたら自分より強い奴に出会うこと、そして人生で初めて負けることだったのかもしれない。

 フリーザ様とは以上のように強さという平等な価値観のもと全宇宙をまとめあげ、その強さにおいて自他を成長させ、高みを目指す孤独な人物である。あまりにも強さに価値を置くために人命を軽視するという点は悪であるが、宇宙最強にこだわる孤独でストイックな男の業である。不老不死すら宇宙最強のための成長なのではないだろうか。
 最期に産まれて初めて全力で闘い知恵も体力も使いつくして負けた時の彼の快楽を思うと、幸せだったんじゃないかなと思う。
 自分もフリーザのように、精一杯生きて、成長を目指したい。なんて嘘。ナメック星人のようにドラゴンボールを隠しながら平穏に生きたいです。