男の中の男

 子どもたちと一緒にドリフを観ていると言いたくなる。加トちゃんや志村が面白いのは、いかりやさんが怒ってるからなんだよ。そして、仲本さんや高木さんが正解を見せたりパターンを広げたりしてるから決まるんだよ。と。
 小さい時の自分はやっぱり加トちゃんや志村さんに夢中だった。いや、正直に言えば裏のたけしさんやさんまさんに夢中だった。けれど、大人になって改めて見ると、それらのスターは支えられていたんだ。
 「自分の人生の主役は自分」ということもあるが、やっぱり子どもの時は主役に目がいく。脇役の役割が理解できない。でも、大人になると「人の人生の脇役」という、自分の立場も理解できる。そうして、人の脇役としての動きが理解できたときに急に脇役の人が輝いて見える。
 志村や加トちゃんがスポットライトを浴びる中セットを片付ける仲本さん。怠け者と言われながらもしっかりみんなの動きにリアクションを取っている働き者の高木さん。
 特に仲本さんは、学習院だし運動できるし音楽できるし伊達眼鏡だし、かっこいいもて男の要素しか見つからない。それでも舞台では三枚目以下のエキストラに近い役割まで演じている(それでいてやれば主役もできる)。かっこいい男の中の男だ。
 ひょうきん族では同じく文武両道の渡辺正行リーダーもいた。いや、もっともっとスタッフさんとかまでいれたら、主役でもおかしくない男達が主役を支えている。かっこいい。
 そして、仲本さんも渡辺リーダーもしっかり、私生活では主役を張っているようで…羨ましい。
 今の日本に脇役はいるのか?脇役を評価する余裕はあるのか?私生活では脇役の人を主役とするような見る目があるのか?評価眼があるのか?
 インターネットだけでなく、カラオケやゲーム。昔と違って誰でも主役になれる時代。いい時代だよ。だけど娘たちよ。パパは志村の後ろで頑張っている仲本さん。セットを片付けるスタッフさん。音楽を生で演奏しているバンドさん。顔もでないエキストラさん。みんなが主役に見えるよ。パパもああいう男になりたいと思うよ。
 仕事をするという男の中の男。そして支えられて大仕事をする、スター。あぁ働く男ってかっこいいね。

 「志村がすきー。」「加トちゃん」面白いっていってる娘たちに「パパはいかりやさんも仲本さんも高木さんも好きだよ」って言ったら、「えー、パパもメガネだから?」「えーパパも太ってるから?」と娘たち。
 娘たちよいっぱいいろいろな経験をして男の中の男を見る目を養ってくれ。そしていい女の役になってくれ。