武勇伝武勇伝

極真館に入門して7年になる。初めて実戦を経験した。
 恥ずかしながら朝の10時からはしご酒してベロベロになった5時頃、娘達にケーキを買って帰宅中家まで10分位のところで声をかけられた。「何、俺の前に立ってんだ」と。身長180位で30位の男だった。
「はっ、何?」という私に男は近づいて胸と腹が(こっちは170)触れ合わんばかりだ。私は距離を取ろうとケーキを持っていない左手を自分の前に出す。
「あっ、押した犯罪者だ!」わめき出す男にパニックになる。こんなんで警察ざたになったら目撃者もいないしなぁ。っとそのとき男がバックハンドブローを打ってきた。ケーキをもつ右手のほうから顔面へかけての不意討ちを、とっさに私はケーキをかばって左手の内受けで止めていた。パニックになる二人、「で、どうするの?」私は何故かそう聞いた。男は慌てながら「いやー、あのバックハンドブローを止めてもらわなければ、俺大変なことになるところでした。」とわけのわからない説明をしてきた。「で、どうするの?」わたしもパニックで同じことを言う。「すいませんでした。」「じゃあ、行けよ。」なんかわからない会話を交わして、男はコンビニに元気よく「こんにちわー」っていいながら入って行った。

 後ろを確認しながら帰宅すると急に冷静になり、怒りとビビってやっつけられなかった悔しさが急に出てくる。せっかくの実戦をあんなんで良かったのか?というか、酒を飲み過ぎてなければもっといい対応が出来たのではないか。
 そんなことを嫁さんに言うと、後ろをつけられてないか心配したあと、「まぁ、それ以外ケーキを食べられなかったからいいんじゃない?相手も怖い思いしたとおもうよ。」と言ってくれた。なるほど、完璧に受けられたら恐怖心がでるのかもな。「じゃあ、これ武勇伝かな?」「そうじゃないのー。」「父ちゃんカッコイイ?」「はいはい。」「父ちゃんカッコイイ?」「うるさい、酔っぱらい。やだねー。」娘達とケーキを食べながら、その話が出ることは二度と無かった。
 
 武勇伝武勇伝ぶゆうでんでんでん…父ちゃんカッコイイー!
 7年ぶんの月謝のもとはとったかな?ケーキ喜んでもらえたし。